石造五輪塔

 竹貫氏菩提寺臨済宗廣覺寺境内向かって左の山腹に竹貫氏累代の墓地がある。後世移転したもので、江戸期の石塔が大部分であるが、その最左端に五輪塔が一基あり竹貫三河守の墓所と称している。塔は宝珠を欠き、火輪以下が残る。三角形をしている火輪が最も古い様式を伝えているが、特に下縁の反り、稜のカーブは古式である。中央に五輪塔の梵字「ラ」字が刻まれている。水輪、地輪はいくらか形がくずれているので、一連のセットであるか否かは不明であるが、同期のものと考えられる。以前、廣覺寺は山下の大平川畔にあったものであるといわれ、本五輪塔もその近く「五輪平」にあったものを掘りおこして現在地に移転したものであろう。現在あるこの五輪塔を含む竹貫氏の墓標は江戸時代中期以降再建整備されたものであるから、史跡ではなく中世期の代表的な五輪塔として、あるいは、竹貫氏関係の史料として価値を認めるものである。当家は累代三河守と称しているが、郷民が唱える九代の三河守重光のものではなく、塔の様式から見れば、鎌倉末、南北朝頃活躍した竹貫総領家のものと考えられる。
種 別  古殿町指定重要有形文化財・工芸品
指 定  昭和52年4月28日
所在地  山上字五輪平117
所有者  廣覺寺

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